なにってトイロだよ

営業の仕事で、神奈川の外れまで行ったことがあって、その時の思い出を話そうかと。

営業をしに行った場所は川崎駅から20分とバス移動で30分かかる所で、もう完全に片田舎。というか集落のような場所に行ったんですね。周り森!自然って感じ。バスも1時間に一本出ている程度で、うわっめんどくさって思いましたね。

ただまあ、営業しに行っているので、当然人はいるわけで、家自体は何軒かありました。その家というのも、ローカル番組や旅番組で見るような昔ながらの家でしたね。

おじいちゃんおばあちゃんしかいなそうだなって思ってとりあえず1つ目の家に向かいました。田舎特有の立派な庭と門があります。門を通ると、白い犬(犬詳しくないから犬種はわからないけど普通の犬)が庭に1匹いました。

僕、けっこう動物が好きなので、内心はしゃいでいました。その犬、首に何か下げていて、近づいても吠えたりしなかったので近づいてみると、「ニシカタ」って文字が書いてあるネームプレートでした。なんか変だなって思ったけど、まあこういうのもアリなのかなって。そもそも、この家の主の名前が西片なのかもしれないし。でもその家の表札を見たら、「ニシカタ」ではなかったんですよね。あ、ちなみにその家は留守でした。畑仕事かな。

二軒目はすぐ隣だったので2つ目の家にも行きました。そうしたらその家の庭にも白い犬がいて、近づいて見ると

 

「ニシカタ」

 

ってネームプレートを下げていました。ちなみに家の門の表札は全く関係のない名字です。こういう集落っぽいところって名字が同じ家が多いことはあるのですが、流石に犬に同じ名前を付けている地域は見たことないです。その家も留守だったので少し離れたところに見える3件目にも向かいました。

3件目にもやっぱり白い犬がいて、ネームプレートを下げていました。遠目でわからないですがたぶん「ニシカタ」って書いてあるんだろうなって。その家は留守ではなく、庭に70歳くらいのおばあちゃんが庭の手入れをしていました。やっと人に会えたのでさっそく営業を、、と思ったのですが、流石に白い犬とニシカタって名前について聞きたくなり、仕事そっちのけで尋ねました。

「お忙しいところ失礼します。今私、仕事の関係でこちらの〇〇を訪ねているのですが、どの家も白い犬を飼っていて名前がニシカタって不思議ですね。あ、いきなりすみません。」

おばあちゃんは庭作業を中断しました。物腰やわらかくて僕の会話に応えてくれました。

「ご苦労様。」

「あの、ニシカタってなんですか」

僕がそう聞くと、おばあちゃんは一言

 

「なにって、トイロだよ」

 

トイロ?平仮名なのかカタカナなのか、何か漢字でもあるのか、聞いたことのない言葉でした。

「トイロ…ですか。」

トイロについて聞こうと思ったら、今忙しいとのことで、深くは聞けませんでした。

礼をしてその場から立ち去り、4件目へ向かおうと門を出ようとしたら。

 

20人ほどの男女が門の前に立っていました。

 

 

全員こちらをボーッと見ています。

男女の老人、そして5歳くらいの子ども数人。何故か手には矢のようなものを持っていました。

異様な光景にその場からすぐ離れようと思いました。小走りで立ち去ろうとしたら、5歳ほどの女の子が明るい声で言いました。

 

「トイロみいつけた」

 

そういうと、なんと、僕に向かって手に持っていた矢を投げつけてきました。

当然弓を使っているわけではないし、子どもの力なので全く痛くはないのですが、それでも、その子どもは人に向かって矢を投げてきたのです。

頭が真っ白になりましたが、そんな最中に老人が

 

「ニシカタを殺せ」といい矢を投げつけて来ました。

幸い風の抵抗を受けて当たりはしませんでしたが、明らかに僕の目を狙っています。続々と「ニシカタを殺せ」「殺せ」「トイロを殺せ」と呟きながら、矢を投げてきます。

走ってその場を去りました。あの男女は追っては来ましたが、走ることなく歩いていたので、簡単に距離を取ることができました。

 

ケガもなく、無事逃げることは出来ましたが、バスが来ない、というかこんなところを通るバスに乗るのも怖いので、最寄りではなくかなり離れにあるバス停へと歩いて向かいました。

ここで話は終わりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という夢を今朝見たので書いてみました。以上です。